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建設業で外国人を「技術・人文知識・国際業務」で雇えるか ―2026年4月改定対応―

「技人国(ぎじんこく)」で建設の人材を採れるか、というご相談が増えています。結論と、令和8年(2026年)4月の最新改定までを公式情報でまとめました。

はじめに ―「建設の現場で技人国は使えますか?」

外国人材の採用が広がるなか、建設業の経営者から「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国/ぎじんこく)の在留資格で人を入れられないか」というご相談をよくいただきます。

先に結論を申し上げます。

  • 建設現場での作業(とび・型枠・鉄筋・配管・解体・資材運搬など)は、技人国では原則として認められません。 これは「単純労働(現業業務)」に当たるためです。
  • 技人国で受け入れられる可能性があるのは、施工管理・設計・積算といった専門知識を要する技術職に限られます。
  • そのうえで、本人に関連分野の学歴または相当年数の専門実務があり、職務との関連性が説明できることが前提になります。

以下、出入国在留管理庁の公表資料に沿って整理します。

1. 技人国はどんな在留資格か

技人国の対象となる活動は、入管法別表第一の二の表で次のように定められています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務、又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

ポイントは「技術若しくは知識を要する業務」という限定です。出入国在留管理庁は、これに該当する活動を「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とする活動」とし、次のように明確化しています。

単に経験を積んだことにより有している技術・知識では足りず、学問的・体系的な技術・知識を要するものでなければなりません。 (出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」より)

つまり、「現場の経験が長い」というだけでは技人国の要件は満たしません。 学んできた学問分野と、これから従事する専門業務が結びついている必要があります。

2. 上陸許可基準(本人に求められる要件)

従事する専門業務について、次のいずれかに該当し、必要な技術・知識を修得していることが求められます。

ルート 要件
学歴(大学) その技術・知識に関連する科目を専攻して大学を卒業(または同等以上の教育を修了)
学歴(専門学校) 関連科目を専攻して日本の専修学校専門課程を修了し、専門士の称号を取得
実務経験 10年以上の実務経験(大学・高等専門学校・高等学校・専修学校で関連科目を専攻した期間を含む)

※ このほか「国際業務(翻訳・通訳・語学指導・広報・海外取引・デザイン等)」の類型は、関連業務について3年以上の実務経験が基準となります(大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合は実務経験を要しません)。

なお、実務経験は「技人国に当たる業務だけを10年」という意味ではなく、関連する業務経験を算入して判断されます。建設であれば、土木・建築系の学歴や、施工管理・設計などの専門実務がこれに当たります。

報酬についても「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが必要です。

3. 建設業での「線引き」

技人国に該当するかは、仕事の中身で判断されます。建設業に当てはめると、おおむね次のように整理できます。

技人国で認められる可能性がある業務 技人国では認められない業務(現業)
施工管理(工程・品質・安全・原価管理)、設計・CAD、構造・測量・積算、技術提案・技術監理 とび・型枠・鉄筋・左官・配管・解体などの現場作業、資材運搬、作業従事としての重機オペレーター

出入国在留管理庁が公表する不許可事例でも、「主体的な創作活動を伴わない補助業務にのみ従事するもの」「専ら接客・販売業務に従事するもの」は不許可とされています。建設に置き換えれば、専門的判断を伴わない現場作業に終始する場合は不許可ということです。

建設現場での作業に従事する人材を確保したい場合は、技人国ではなく、「特定技能(建設分野)」や「技能実習」など、現場作業を予定した在留資格を検討するのが本筋です。

4. 2026年(令和8年)4月15日の改定ポイント

出入国在留管理庁は、技人国の明確化資料を令和8年4月15日に一部改正しました。実務に影響する主な点は次のとおりです。

  • 代表者に関する申告書の提出:カテゴリー3・4(中小・新規設立など)の所属機関に該当する場合、所属機関の代表者に関する申告書の提出が必要になりました。
  • 対人業務の日本語能力(CEFR B2):翻訳・通訳をはじめ、言語能力を用いる対人業務に主として従事する場合、CEFR B2相当の言語能力を証する資料が必要とされました(JLPT N2以上、BJT400点以上、本邦の大学卒業、20年以上の在留等に該当する場合はみなし適用)。
  • 別紙4の新設:翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務についての明確化資料(別紙4)が新たに公表され、別紙1・5も更新されました。

建設の施工管理職そのものを狙い撃ちした改正ではありませんが、受入れ企業の規模(カテゴリー)や、現場で協力会社・職人と日本語で調整する業務の比重によっては、上記の書類・日本語要件が関係してきます。 申請前に最新の公表資料を必ず確認してください。

5. 経歴をどう「証明」するか

技人国は、主張するだけでなく証明できることが重要です。とくに実務経験ルートでは、在職証明書の質が結果を左右します。

実務上、在職証明書は次の点を満たすよう準備します。

  • 発行主体のレターヘッド付きで、会社の名称・住所・電話番号を明記する
  • 在職期間職務内容(施工管理・設計など専門業務であることが分かる記載)を入れる
  • 発行日を必ず記載する(発行日がないと職歴を証明できないと判断されることがあります。現職継続中の場合は申請日から概ね3か月以内に発行されたもの)
  • 代表者(権限者)の署名・社印を入れる(在籍確認の連絡が入ることがあります)
  • 住民登録や旅券の出入国履歴と矛盾がないこと

あわせて、卒業証明書・成績証明書、雇用契約書(業務内容・労働条件が明示されたもの)、職務内容説明書などを整えます。

6. よくある不許可・つまずきのパターン

  • 「経験は長いが学歴・専攻が関連しない」:現場経験が長くても、学問的・体系的な技術・知識の裏付け(関連学歴または専門実務)が説明できないと不許可になりやすい。
  • 職業欄が「労働者(labor)」のまま:旅券や公的書類の職業記載が単純労働者を示していると、実務経験要件を満たさないと判断されることがあります。
  • 実態が現場作業:書類上は「施工管理」でも、実際は現場作業が中心だと在留資格該当性が否定されます。
  • 立証書類が自己申告中心:レターヘッド・発行日・署名のない証明書は信用されにくい。

まとめ

  • 建設の現場作業は技人国では原則不可。技人国が成立するのは施工管理・設計などの専門職に限られます。
  • 本人に関連分野の学歴、または相当年数の専門実務があり、職務との関連性を説明できることが要件です。
  • 2026年4月の改定で、カテゴリー3・4の誓約書や対人業務の日本語(CEFR B2)など、提出書類が追加されています。
  • 経歴はレターヘッド・発行日・代表者署名入りの在職証明書で確実に裏付けることが大切です。

「現場で働く人材」が必要なのか、「施工管理などの技術者」が必要なのかによって、選ぶべき在留資格は変わります。判断に迷われたら、採用予定の職務内容と候補者の学歴・職歴を整理したうえで、お早めにご相談ください。当事務所が、在留資格の選定から申請書類の準備までサポートいたします。


参考(出典)

※ 本記事は公表資料に基づく一般的な解説であり、個別の許否を保証するものではありません。制度は改正される場合がありますので、申請にあたっては最新の公表資料をご確認ください。(行政書士クリーン石川事務所)

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